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小・中学生 中島 高校生 田川

読書のすすめ

 

小学生

霧のむこうのふしぎな町
柏葉幸子  講談社青い鳥文庫

 

「毎年長野へいくんだから、ことしは霧の谷へいってみろ。たまにはかわったところもいいもんだぞ」と父親に言われた上杉リナは、小学六年生の夏休みに、初めての一人旅に出かけた。静岡から東京、仙台と二回の乗り換えをし、おとうさんのいっていた町についた。連絡しておくから、あの町へつきさえすれば心配ないと言われていたが、駅にはお迎えがこない。こまったリサは、歩いていた女の人に聞くが、「霧の谷」は聞いたことがないという。リサと女の人は、交番へ行きおまわりさんとも話をする。おまわりさんは、銀山村のことではないかとリサに告げる。ただ、その村は、銀山が閉山してから三十年たっており、今は何人の人が住んでいるか分からないという。町外れの神社のわき道をのぼっていくらしい。ここまで来たからとリサは、行ってみることにした。「千と千尋の神隠し」に影響を与えた本と言われている日本のファンタジーである。リサの成長していく姿を読み取って欲しい。

中学生

線は、僕を描く   
砥上裕將  講談社 

 

大学一年生の青山霜介は、高校生のときに不慮の事故で両親を失い、喪失感とともに無気力な生活を続けていた。友人の古前君から紹介された「簡単な飾り付け」のアルバイトに出かけた霜介だが、実際は、展覧会会場の設営であった。畳三畳分のパネル五十枚、パーティション百枚を搬入し、それを後数時間で完了するという肉体労働が待っていたのだ。あまりに過酷なため、最初に参加していたアルバイト学生は、霜介だけになったが、古前君に連絡し、なんとか人員補給ができた。その後、設営監督の西濱さんに、作品を見て行けと言われた霜介は、展覧会場に入った。そこは、水墨画の展覧会会場だったのである。その会場で、人なつこい一人の老人と会い、霜介の人生の歯車が回り始めた。水墨画の巨匠である篠田湖山だったのだ。そして、素人の霜介は、湖山になぜかなかば強引に内弟子にされてしまう。湖山先生や他のお弟子さんたちと水墨画との出会いで、霜介はゆっくり回復、再生していく。文庫化もされ、コミック版も出版されている。2022には、横浜流星さん主演で映画化された、五十九回メフィスト賞受賞作である。

 

高校生

「若者の読書離れ」というウソ 
 飯田一史  平凡社

「最近の子どもは本を読まない」というステレオタイプな指摘は実は正しくないと筆者はいいます。
第1章「10代の読書に関する調査」では、1980年代から1990年代にかけて確かにいわゆる「本離れ」はあったものの、2000年代にV字回復、2010年代には平均読書冊数は小学生は史上最高を更新したと資料をもとに示し、それは児童書市場の衰退や学力到達度調査PISAの結果等を踏まえた官民連携での読書推進運動の展開が功を奏し……。その詳細はなかなか興味深いものですが、詳しくは読んでみてください。
続く第2章では「読まれる本の『三大ニーズ』と『四つの型』」、さらに第3章で「カテゴリー、ジャンル別に見た中高生が読む本」と現在の中高生の読書傾向について考察し、終章の第4章では「10代のこれからの読書について」と展望が述べられています。
豊富な資料をもとに、学校図書調査高校生部門の上位に入っている作品に、その後メディアミックスを展開しているものも少なくないことを指摘しています。一般文芸に加え、「ラノベ」「なろう系」「ケータイ小説」「ボカロ小説」などを分析する中には「キノの旅」「氷菓」「SAO」「リゼロ」「転スラ」「青ブタ」「よう実」「探もし」「このすば」「わた婚」「薬屋」(略称が多くてすみません)など具体的なタイトルをあげて論を展開し、今の若者の読書の内情を詳しく理解できます。
それでも担当生徒からは「読書離れ」のイメージは消えません。個人的には読書の「質」という意味では十分ではないように感じます。「たのしむ」読書の経験は「知識を得る」読書の下積みになる。一般文芸やノンフィクションで「たのしむ」読書に移行できるかも重要ではないでしょうか。読書の形は時代とともに形を変えていくのでしょうが、みなさん自身と同じ10代の平均的な「読書」はどうなのか、知ってみませんか。

 

 

 

 

 

 

大河への道
立川志の輔  河出出版

 

落語を聴いたことがありますか。何か知っている落語はありますか。「寿限無」は知っていますか。
この噺は2011年初演の立川志の輔の新作落語「大河への道―伊能忠敬物語」を元に小説にしたものです。巻末に「落はなし語のストーリーに忠実に沿いつつ小説として体裁を整えた。」とあります。ですから、ここでは「落語」への招待という意味でこの本を紹介したいと思います。なおこの作品は2022年に映画化もされています(中井貴一、松山ケンイチ、北川景子など出演)。上方落語はたまに寄席に行きますが、東の方にはなじみがないので、この噺も映画が先で書籍が次で、高座にかけられたものを聴いたことはありません。
伊能忠敬の故郷、千葉県香取市の市役所の総務課主任である池本保治は、郷土の偉人伊能忠敬を主人公にした大河ドラマをNHKに提案すべく設置されたプロジェクトのリーダーに選ばれました。準備を進める中で、忠敬自身が作成した地図は200年前に火事で全て失われていること、また忠敬自身、地図を完成させることなく死亡していることなどの歴史的事実を知って……。
歴史で学び教科書的な知識はみんなが持っている人物の偉業。それを涙と笑いの物語に昇華させた見事な作品です。でも正直伊能忠敬を知らなければ涙と笑いの中身もまた違ったものになっていくでしょう。
落語にはどこが面白いのか、わかりにくいものが結構あります。噺家の口調や仕草だけで笑う、そういうものでもありませんし。今回紹介した新作落語(創作落語ともいう)以外に、古典落語というジャンルもあります。そちらはさらに背景知識が必要です。笑えるための教養。自然と身につけたいものです。
最後に、今年の大河ドラマにちなんで江戸川柳を一つ、「盗まれたろうで七十五年経ち」わかりますか。

 

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