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国語
田原本校 中島
読書のススメ
草野たき作品3冊
1999年「透きとおった糸をのばして」で第40回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。近年、国語入試問題によく出典される児童文学作家『草野（くさの）たき』さんのＹＡ（ヤングアダルト）向けの作品を三冊紹介します。
「ハーフ」ポプラ社
真治にとっての一番の悩みは、父親の祐治である。祐治は真治に、犬のヨウコが最愛の妻であり、真治の母親だと言い聞かせている。しかし、真治は人間の母親がどこかにいて、自分に会いたがっていると思っている。自分と父親と母親（犬）との生活を送る真治。そんなとき、ヨウコが失踪してしまったのだ。必死でヨウコを探す父親の姿を目の当たりにし、真治もどうしていいのか分からない。家族とは何か、家族の絆を見つめ直す話である。
「反撃（はんげき）」ポプラ社
毎年、八月の半ばになると新潟にある母の実家に遊びに行く。有里は、おじいちゃんやおばあちゃん、そしておじさん夫婦に母親が悪く言われないように、できるだけいい子にしていた。ただ一つ気がかりなのが、いとこの千絵ちゃんだ。年下の千絵ちゃんの私に対する態度は最悪ともいえるものであった。しかし、母の手前じっと耐えてきた有里であったが、ついに我慢しきれなくなった。五人の中学生をあつかった五話の短編集である。
「リリース」ポプラ社
中学二年生の明良（あきら）は、暮らしに不満があるわけではない。しかし、誰かのためになにかと無意識に我慢していると思っている。小さいときから死んだ父親の生まれ変わりと言われ、将来は医者になれとの遺言を受けている。バスケ部に所属している明良は、本心はバスケ選手になりたいと思っているが、部活仲間にも家族にもその思いを隠(かく)している。そんな中、バスケの才能にあふれた転校生が入部してきたり、知らない少女との出会いがあったり、兄の秘密を知ったりと、周囲が大きく揺(ゆ)れ動く。自分自身と向き合い、本音をぶつけ、何もかも投げ出してしまう。