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読書のすすめ

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小学生

「駒音高く」
佐川光晴 実業乃日本社文庫

 小倉祐也は中学一年生である。彼は、小学三年生のときに将棋を覚え、その面白さにとりこになった。いつしか、プロの棋士を目指すようになる。そして、将棋の腕前はどんどん上達し、小学五年生の十月に、研修会入りを果たした。研修会は、細かくクラス分けがされていて、その中で、昇級を繰り返し、奨励会試験に合格したら、奨励会に入会できるのである。さらにそこから三段リーグを突破すると、四段に昇段する。四段すなわち、プロになるのである。ところが、奨励会入会時や三段リーグ終了時には、年齢制限があるので、のんびりとは構えていられない。祐也も研修会入会時までは、順調にきていたが、その後、実力が伸び悩み、降級も経験してしまった。連敗続きの祐也は、立ち直れるのか。将棋の世界に関係する七人の登場人物がいる連作短編集である。中学入試の出典でもある。

 

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中学生

「雲を紡ぐ」
伊吹 有喜 文芸春秋BOOKS

 高校生の山崎美緒は、学校に行けなくなってもう一か月、ゴールデンウイーク後からである。その美緒の唯一の心のよりどころが、生後一か月の初宮参りのとき、父方の祖父母から贈られた、赤いホームスパンのショールである。十七年たっても、その鮮烈な赤は色あせず、手触りも柔らかい。母と口論になった美緒は、家を飛び出し、岩手県の盛岡にある祖父の工房に行く。そこで、職人たちの思いや尊さを知ることになる。羊毛を手仕事で紡ぎ織り上げられた「時を超える布、ホームスパン」をめぐる親子三代の物語である。美緒がいない間に、父と母の間に離婚話が持ち上がっていた。ばらばらになりかけている家族は、またひとつになれるのであろうか.

 

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高校生

「草原の風」
宮城谷昌光 中公文庫

 「光武帝」を知っていますか。王莽によって簒奪された漢王朝を再興し、後漢王朝を立てた英雄。また「漢委奴国王」と刻まれた金印を倭の奴国にあたえた皇帝です。
 古代中国の歴史小説が好きでも、案外前漢の武帝あたりまでと三国時代、ということも多いのでは。自分自身もそうです。だから光武帝を扱った作品は珍しいというか、初めてでした。
 文庫版上中下三巻の読後の感想は、「光武帝劉秀」とはなんとも気持ちのいい好青年、英雄中の英雄かということ。あまたの名将が彼の元に吸い寄せられるように集う人間的な魅力。後年蜀の諸葛亮をして「光武帝が神の如き知謀を持ち自ら深謀遠慮を有していた」といわしめたとされる将器。中国史を彩る英雄はやはり清濁あわせもち、史実は残酷なものです。ただ建国の英雄譚は多々あれど、颯爽たる事績をこれほど鮮やかに描いたものもないのではないか。これまで「劉秀」に関心を持たなかったことを残念に思った覚えがあります。
 なんとも珍しい、読んで気持ちが爽やかになる歴史小説。少しでも興味が湧いたならば、是非読んでみてください。

 

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「古典歳時記」 
吉海直人 角川選書

 以前、祇園祭の山鉾の一つ「保昌山」の花盗人の由来を調べていて同志社女子大学のサイトで「祇園祭の『保昌山』」と題された吉海直人氏(掲載時日本語日本文学科教授)のコラムを見つけました。2018年のものでしたが、後日これらがまとめられ書籍化していることを知りました。
 正月/春/夏/秋/冬、そして京都文化という6部構成で、「最初に質問します」「いきなり質問です」「みなさんは~をご存じですか」「早速ですが~を全部言えますか」と挑戦的な始まり方をするテーマも多々あり、古典も指導している身としてはやや身構えてしまいます。
 「日本の『暦(こよみ)』について」(正月)は読まず嫌いで避けていた冲方丁『天地明察』を手に取るきっかけに。その後映画も鑑賞しました。「『春はあけぼの』は平安朝の美意識ではなかった」(春)では「確かに言われてみれば……」と新しい視点を持ち、「西行『願はくは花の下にて』歌をめぐって」(春)では古典文学における「西行法師」の存在感を改めて感じ、「六月三十日は『水無月祓い』」(夏)では餡子が好きでういろうが苦手な自分が毎年いただく三角形のあれを思い出し、「桃太郎のとがった『桃』について」(夏)では……、きりがありません。知りたかったことや再認識できたことが多く驚きでした。
 日本人は、古の時代より常に自然とともにあって、それを楽しみ慈しんで生きてきました。身の回りにある暮らしに根ざしたテーマについて、「旬」を感じ、四季折々のことばの語源とその意味を優しく学べます。学習参考書からは得られない、より深い理解を与えてくれる良著です。

 

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